秋田地方のスギ人工林に設置された29の試験区における長期継続調査データを分析し,林分成長量の経年変化を調べた。林分材積総平均純成長量は林齢とともに増加した後に,80~90年で減少に転じるか,もしくは一定の値を保っていた。林分材積総平均粗成長量が最大となる林齢は純成長のそれよりも高齢であった。上層樹高総平均成長量は,ほとんどの試験区で調査開始時点(林齢27~39年)よりも前に最大に達しており,林齢とともに減少した。断面積合計総平均純成長量は林齢とともに増加した後に,40~80年で減少に転じていた。以上より,次の結論を得た。1)密度管理や地位の違いにかかわらず,林齢60年生以上まで林分材積総平均成長量は増加する。2)間伐等の実施によって,被圧や災害による枯死量を少なくできれば,平均成長量が最大に達する林齢が高くなる。3)平均成長量が最大に達する林齢は上層樹高,断面積合計,林分材積の順に高齢に推移する。