現行の日本の森林資源に関する情報は,林野庁と各都道府県がそれぞれ管理する国有林と民有林の森林簿データを基礎とした森林簿システムによって算出されている。一方,1999年から日本全国の森林を対象とした森林資源モニタリング調査が林野庁と各都道府県の協力により実施されている。このモニタリング調査は,1995年のモントリオール・プロセス,サンチャゴ宣言で定められた基準と指標を満たすために計画され,これまでの森林簿システムとは全く異なる方法,すなわち全国を対象とした標本調査法(サンプリング理論)を基礎とした方法で実施されている。この論文では,日本で第二次世界大戦後から現在までに全国レベルで行われてきた森林調査が,どのような考え,目的および方法によって実施されてきたかについてとりまとめている。