32のスギ若齢林分の調査資料を用い, 立木密度と定直径高, 枝下高の関係から樹冠・定直径高管理図の作成を試みた。胸高より上部の幹長を胸高直径 D で除した胸高上部幹長比と梢端から一定の幹直径 x (定直径) までの長さである定直径長 Lx を定直径 x で除した定直径比との相関は, 数値のばらつきは大きいものの定直径が小さい場合には低く, 定直径が大きくなるにつれて高くなった。この関係は一次式で表すことができた。また立木密度から求める相対幹距 S Rと樹高 H を胸高直径 D で除した形状比には負の相関があり, 立木密度が高くなると形状比も高くなることを裏付けていた。 S Rと形状比の逆数 D / H の関係も一次式で近似できた。この二つの一次式から Lx を H と立木密度ρの関数として表し, この関係とすでに報告した枝下高の式から, 樹冠・定直径高管理図の作成を試みた。この図を利用すれば, 無節材や求める末口と長さをもつ材の生産のための密度管理, 風害や冠雪害などへの耐性の指標となる樹冠長率のコントロール等が期待できる。