当年枯死のミズナラ6本について, 地際から地上高1.5 mまでの樹幹表面におけるカシノナガキクイムシの穿入孔の空間分布を解析した。2週間間隔で穿入孔の調査を行い, 最初に穿入孔が発見された調査日の穿入を初期穿入とした。木あたり初期および総穿入密度は27.1および173.0個/m2で, 初期穿入割合は16.2%であった。初期穿入密度は高い部位ほど少ない傾向が, 斜面上方向より斜面下方向で高くなる傾向が認められた。また, 総穿入密度の解析でも, 初期穿入と同様の傾向がみられた。このため, 傾斜地では, 穿入密度が高い地際部と斜面下方向を丁寧に処理することによって穿入防止効果が向上できるものと考えられた。