東京農工大学府中キャンパスの3 ha (平地) と唐沢山演習林の1 ha (緩傾斜地) の樹林地において, 上層木の落雷被害を調査した。両調査林において, 主に樹皮に落雷痕跡 (外部痕跡) を持つ被雷木は114本あったが, それらは枯れずに生育を続けた。府中調査林において, 被雷木の本数率は調査木593本中の18%であり, 樹種別ではアカマツで52%と最高であった。 唐沢山調査林では, 33本を玉切り, 各木口面を調査した。落雷により黒く変色した年輪 (内部痕跡) はアカマツの62%, コナラの10%に確認されたが, ヒノキでは確認されなかった。 落雷外部と内部痕跡は内樹皮の繊維に沿って形成され, それらのほとんどは樹冠下の樹幹に観察された。落雷外部痕跡の14中13痕跡は落雷内部痕跡の真上の樹皮部にあったが, 1痕跡は癒傷組織の被覆に隠された。アカマツの13落雷内部痕跡の, 長さは平均2.2 (レンジは1∼4.5) m, 最大弧長は平均8 (レンジは4∼18) cm, 癒傷組織による巻き込み弧長は年0.1∼1.3 cmであった。 落雷内部痕跡周辺の腐朽は, コナラでのみ確認された。