クローンコンプレックスであるスギさし木品種シャカインについて, CAPS (cleaved amplified polymorphic sequences) マーカーを用いてクローン分析を行うとともに, 各構成クローンの樹幹特性 (真円性, 完満性, 樹幹形) と材質特性を調査し, 品種としての特性評価と今後のクローン管理について検討した。熊本県内の22年生から82年生のシャカイン8林分の220個体を調査した結果, 19クローンが出現し, 上位3クローンが全体の87.7%を占めた。標準伐期齢 (40年) に近い4林分における主要3クローンの諸特性について分散分析を行ったところ, 形状比, 最大矢高の位置およびFAKOPP値でクローン間に有意差が認められた。しかし, これらの差は実際の木材利用上, 区別して扱う必要がない程度のものであり, 主要3クローンを同一のものとして扱っても問題がないと考えられた。今後, シャカイン材の品質均一性を高めるためには, シャカインに内在するマイナークローンを採穂源から除去し, 主要3クローンからなるクローンコンプレックスに誘導していく必要があると考えられた。