新潟県で選抜されたスギ雄性不稔11個体の, 樹高, 胸高直径, 傾幹幅, 樹幹ヤング率などの諸形質や雪害の被害形態を調査し, 同一林分の可稔個体と比較した。雄性不稔個体が選抜された林分は典型的な不成績造林地で, 幹折れ, 根元割れ, 斜立・倒伏などの致命的な雪害が認められ, 樹高, 胸高直径, 立木密度は著しく小さかった。しかし, すべての形質および雪害の被害形態において, 雄性不稔個体と可稔個体との間に大きな違いは認められなかった。このことから, スギ雄性不稔性は花粉の形成過程に異常を生じるが, 成長などの他の形質においては可稔個体と変わらないことが示唆された。