MEP-MCの空中散布によるマツノマダラカミキリ成虫の死亡率を推定するために, 2004年から2006年にかけて鹿児島県桜島の10カ所のクロマツ林分で, 誘引トラップを用いて成虫を捕獲し, 捕獲した成虫からMEPを検出した。散布地域とそれに隣接する林分では, 2004年は薬剤散布終了後39日, 2005年は51日, 2006年は33日目までの捕獲個体からMEPが検出された。MEP検出個体は, 2004年は散布終了4日後, 2005年は散布終了5日後に, 散布地域から4∼5 km離れた林分でも捕獲された。散布地と非散布地での成虫の捕獲状況と捕獲成虫からのMEP検出状況をもとに算出したMEPによる成虫の死亡率は, 散布地では2005年は62%, 2006年は76%, 散布地に隣接する林分では2005年は62%, 2006年は66%と推定された。これらの結果から, MEP-MCの空中散布はマツ材線虫病拡大に対し, 予防効果をもっていると考えられた。