過疎高齢化が進む農山村では, 自治機能低下や資源管理放棄が生じ集落の衰退が危惧される一方, 都市住民の移住・就農就林意向が高まっており, 集落活性化の一つとして移住の推進が注目されている。移住者の定着には不動産の保有と住民との親和, すなわち農山村住民が不動産提供と受入の意向をもつかが重要な要因となる。そこで本研究では移住者受入許容集落の特性把握を目的に, 四国西部でのアンケート調査から四つの集落タイプを抽出し, あわせて農業集落カードの分析から集落差の要因を検討した。その結果, 兼業化が進み自力での集落維持を目指す「活力維持集落」では積極的な受入意向がみられ, 耕作・施業放棄が進む「衰退傾向集落」, 山間地に立地する「守旧的集落」, 公的組織の斡旋希望がみられる「公的支援依存集落」は移住者受入意向が弱いか, 農山村不動産の売貸対象に移住者が想定されにくい。つまり, 集落維持意向と資源管理の現状および展望とで移住者受入意向が異なり, それらが集落存続に影響すると考えられた。