森林斜面におけるホートン型表面流の発生に寄与する要因を検討するため, 地質や降雨特性の異なる3カ所の試験地 (高知・三重・東京) のヒノキ, スギ, 広葉樹林斜面のプロットにおいて表面流出量を観測した。すべてのプロットにおいて表面流が発生し, 流出率は樹種間の差よりも試験地間の差が大きかった。降雨強度と浸透強度の関係式から求めた各プロットの表面流出指標は, 斜面勾配, 表層土壌の飽和透水係数と明瞭な関係を示さず, 林床被覆率が高く, 表層土壌のシルト・粘土含有量が小さいほど表面流出指標が小さい傾向がみられた。雨水浸透を阻害する土壌孔隙の「目詰まり」に対して, 林床被覆は雨滴衝撃を防ぐことで「目詰まり」発生を抑制し, 表層土壌のシルト・粘土は土壌孔隙を「目詰まり」させる材料として寄与すると考えられた。