森林総合研究所山形実験林内の常緑針葉樹のスギ林 (大・小) と落葉広葉樹のタニガワハンノキ林を対象として積雪期における樹冠通過降水量の測定を2008年12月24日から2009年3月25日までに5回行った。樹冠の開空度は, タニガワハンノキ林>スギ林・小>スギ林・大の順で大きな値であった。樹冠通過降水量はその開空度の大きさと同様にタニガワハンノキ林>スギ林・小>スギ林・大の順で多く, 5回の測定値合計について, タニガワハンノキ林でスギ林・小より119%増, スギ林・大より143%増であった。開空度と樹冠通過降水量との間に, 開空度が低いスギ林・大では正の直線に対して高い相関があり ( R 2=0.839, p =0.01), 三つのプロット全体では対数曲線に対して高い相関が認められた ( R 2=0.781, p <0.001) 。針広混交林である釜淵森林理水試験地の水収支を定量的に評価するため, 常緑針葉樹と落葉広葉樹の混交率など流域内の林況を明らかにすることが重要であると考えられた。