寒冷地等でのマツ材線虫病の被害の拡大を防ぐため, 病原線虫の媒介者マツノマダラカミキリ幼虫の穿入している被害木を見落としなく探査し, それらを駆除処理することが求められている。空中写真の利点を最大限に活用して枯損木を探査する技術を開発する研究に取り組んでいる。マツ材線虫病の進行を2種の空中写真 (ナチュラルカラーおよび赤外カラー) と地上観測により経時的に追跡するため, 30本のマツからなるマツノザイセンチュウ接種区を設けた。空中写真の解像度は12.5 cmで, この解像度で接種木の発病による樹冠の変化を個体別に追跡した。個別判読 (個体別の追跡) のためのキーは画像に写る樹冠の色, 形および, 地上に設けた航空標識との位置関係とした。草地の中に立つ接種マツは, 初秋に, 判読が困難な個体もあったが, 2006年10月の撮影ではすべての接種木の個別判読が可能であった。地上観測のために設けた8段階から構成される樹冠針葉変化区分のとらえかたは, 2種の空中写真で異なった。