森林および木材に関する多様な教育活動が行われているが, それらを俯瞰する教育内容の整理は未だに十分とはいえない。そこで本研究では, 森林教育の全体像を明らかにするために, 文献調査と森林体験活動の実態調査を行い, 森林教育が包括する内容の整理, 分類を行った。その結果, 森林教育の内容は4要素8項目に及ぶものであることが確認された。すなわち, 1) 森林資源: (a) 資源利用 (木工, 林産物利用など), (b) 森林管理 (林業作業など), 2) 自然環境: (c) 森林環境 (森林の働きの学習など), (d) 生態系 (自然観察など), 3) ふれあい: (e) 保健休養 (森林浴など), (f) 野外活動 (運動, 芸術的活動など), 4) 地域文化: (g) 地域環境, (h) 暮らしである。これらの要素には, 実態調査から得られた多様な森林体験活動の内容をあてはめることができた。森林教育には異なる内容の要素が含まれていたが, それぞれの要素の明確な区分は難しく, 重複した関係がみられた。森林教育に多様な内容が含まれる背景には, 森林がもつ多面的な機能と, 社会からの森林へ多様な期待とが考えられた。森林教育への今後の課題として, 教育目的の整理, 体系化と, 実施体制の確立が挙げられた。