近年発見されたスギ雄性不稔新大8号の細胞学的・遺伝的特性を調査した。新大8号における花粉の分化は, 小胞子形成期まで正常に行われたが, その後の花粉有糸分裂に異常が生じ, 正常な花粉壁が形成されず, 核が消失して小胞子は崩壊した。また, 新大8号の戻し交配苗では, 不稔と可稔が1: 1に分離した。しかし, 新大8号と雄性不稔スギ富山不稔, 新大1号, 新大3号, 新大5号および新大7号との交配家系はすべて可稔であった。このことから, 新大8号の雄性不稔性は, これまで報告されている雄性不稔スギと異なる1対の劣性核遺伝子によって支配されていると考えられる。