本研究では, カラマツの人工林の長伐期化に対する風害リスクを検討するため, 植栽密度や本数密度管理の違いが強風に対する抵抗性へ及ぼす影響を, 力学モデルによって評価した。抵抗性の評価には, 風害 (幹折れ, 根返り) が発生するときの高度10 mにおける風速を限界風速とし, この値を指標に検討を行った。その結果, 被害形態は, すべて根返りとなった。全体的な傾向として, 施業タイプとしては, 中庸仕立て (収量比数0.7∼0.8) よりも疎仕立て (収量比数0.6∼0.7) タイプが強風に対する抵抗性が高く, 疎植タイプで抵抗性が高いことが示された。また, すべての施業タイプにおいて, 強風に対する抵抗性は経年変化を示し, 成長過程の一時期 (林齢20∼30年) に低下傾向を示すが, その後, 樹高成長速度が鈍るころから抵抗性が回復する傾向が示唆された。強風に対する抵抗性がもっとも低下する時期は, 樹高成長が旺盛な時期でもあり, 形状比がもっとも大きくなる時期とほぼ一致した。本研究では, 施業タイプの差異が抵抗性に及ぼす影響は, 地位指数が高い立地で大きい傾向が示された。