ヒノキ人工林において, 間伐が林床の土壌動物相に与える影響を調査した。間伐され下層植生の繁茂する林分 (間伐区) と, 間伐がほとんど行われず下層植生の衰退した林分 (間伐遅れ区) において, 土壌動物の群集構成と個体数密度を比較した。両調査区のリター層と土壌層からサンプルを採取し, ツルグレン装置により土壌動物を抽出・分類した。その結果, 土壌動物の分類群数は, リター層・土壌層ともに間伐区よりも間伐遅れ区で有意に少なかった。また, 個体数で優占していたササラダニ亜目 (Oribatida), トビムシ目 (Collembola) の個体数密度は, リター層・土壌層ともに間伐区よりも間伐遅れ区で有意に低かった。以上の結果より, ヒノキ人工林では, 間伐施業の不足が土壌動物の群集構成を単純化させ, 個体数密度を低下させる可能性が示された。