人工林の「広葉樹林化」を検討するため, 日本語で1978∼2006年に発行された広葉樹関連文献を, 林業・林産関係国内文献データベース (FOLIS) で検索した。研究上の必要性を評価し, S, A, B, Cのランク付けを行った。また県別の文献数の違いやキーワードの時代変遷を国内の施業の歴史とあわせて検討した。検索は「広葉樹」と, 「間伐」, 「除伐」, 「人工林」などを組み合わせ, 総書誌数185誌, 総文献数648件を抽出した。S評価の文献は14件, A評価の文献は59件だった。文献は岐阜県 (16件), 宮崎県 (15件) で多かった。文献内容は時代により変遷し, 「広葉樹施業」や「天然林施業」といったキーワードが減少する一方で, 「多様性」をキーワードに含む論文が増加してきている。「不成績造林」や「間伐」をキーワードとする論文は, いくつかのピークを示しながら, 1980年代から連続的に発表されてきた。「広葉樹林化」は新しい概念であり, これまでの研究を十分に参考にしながら慎重に取り組む必要がある。