40∼50年間の長期観察結果をもとに, 北海道の針広混交林3林分における林分構造と成長の推移を調べた。その結果, 枝幸, 幾寅, 定山渓の3調査地ともに, 調査期間内の林分材積はおおむね横這い傾向を示し, 粗成長量と枯損量の積算値がほぼ同じだった。また, 3調査地ともに広葉樹を主体に立木本数が増えており, 林型が単層林型から複層林型に移行しつつある傾向がみられた。以上の結果から, 今回の3調査地のような老齢段階にある針広混交林では, 長期間林分材積が一定の水準で推移して安定しているようにみえても, その内部では樹種構成や林型などの林分構造に変化が起きていることが明らかとなった。