木質系バイオマスのうち利用の進んでいない林地残材の有効活用に期待が集まっている。林地残材の一部である枝条に注目し, 野外乾燥時期の違いとビニルシート被覆によるスギ枝条の含水率 (乾量基準) の変化を明らかにし, 林地残材の野外での乾燥過程について検討した。スギ枝条を100 cm×90 cm×20 cmの金網でパックし, 三層に重ねて一つの堆積枝条とした。鹿児島大学高隈演習林において, 平成16年7月31日∼10月4日の66日間の枝条パックの重量測定から, 含水率の変化を実験1として明らかにした。次に実験2として, 平成16年11月9日∼12月14日の35日間の含水率変化を実験した。さらに実験3として, 実験2と同時期にビニルシート被覆した堆積枝条としないものを比較した。その結果, 実験1では146%から40%にまで含水率が低下し,実験2では120%から51%へと低下した。ビニルシート被覆があると含水率は115%から35%にまで低下し, シート被覆の効果があった。以上より, 野外乾燥によりスギ枝条の含水率を低下させることが可能であり,燃料としての低位発熱量に大幅な向上が認められた。