再造林放棄地の発生状況を定量化することを目的として, 九州本島全域を対象として各県別の放棄地発生率を算出し, さらに放棄地の発生場所を空間的に明示した。針葉樹人工林伐採跡地の再造林の有無を確認するため, 多時期リモートセンシングデータを用いた画像解析から得られた森林変化点を用いた。また, 今回1998∼2002年 (前期), 2002年以降 (後期) で集計を行い, この2期間で放棄地の発生状況がどのように変化したのか提示した。点数ベースでみてみると九州本島全域での放棄地発生率は前期が24.3%, 後期が30.9%であった。放棄地の分布状況をGISで図化した結果, 前期, 後期とも共通して, 放棄地は九州本島全域の森林域に満遍なく存在しているというよりは, 特定のエリアに集中していた。2次メッシュ単位で人工林伐採面積, 放棄地面積を集計し, メッシュ単位で放棄地発生率を求めた。放棄地が著しく多く発生している箇所 (発生率50%以上) がみられた箇所を前期と後期で比べてみると, その多くが一致しておらず, 放棄地発生箇所が移動していることがわかった。また, 少なくともこの2期間では後期の方で放棄地の発生場所が広く分散するようになっていることが確認できた。