宮崎南部森林管理署管内に設定されている系統的配置法によるオビスギ密度試験地 (1972年設定) の測定データをもとに, 植栽密度が単木と林分単位の成長ならびに林木形質に与える影響を明らかにするとともに, 低コスト林業に向けた植栽密度について考察した。試験地は, Nelder (1962) が考案した円状のもので, 1箇所に2反復, 計2プロットがあり, 各プロットはha当たり376∼10,000本の範囲で10段階の植栽密度があり, 各密度区は36本の試験木からなる。解析の結果, 極端な高密度と同低密度では林木形質や目標サイズに達するまでの時間などから, ともに望ましくないことがわかった。利用上, 形質にこだわらない場合であれば, 高密度区ではha当たり蓄積が高いために有利であるが, 1,615本の植栽密度区以上ではほぼ一定であった。一方, 形質を求める場合は, 高密度の植栽では形質が悪く, 逆に低密度では良形質材の林分材積量が低かった。これらから, 植栽密度区6 (範囲は約2,000∼2,800本) の中間的な植栽密度が望ましいことが示唆された。