ミズナラ林において, 2009年に初めてカシノナガキクイムシの穿入を受けても枯れなかった穿入生存木と, 過去の穿入が認められない未穿入木について2010年の穿入数を調査した。2009年と2010年の穿入密度の関係は, 両年ともに最大値を示した調査木でのデータを除くと, 有意な負の相関関係が認められた。そのため, 2010年の穿入生存木の穿入密度および枯損率は, 未穿入木の場合よりも有意に低く, 穿入履歴による枯損防止率は約81%と推定された。これらの結果は, 前年に穿入密度が高かった穿入生存木では, 新たな穿入および枯損が抑制されることを示唆している。