森林での余暇活動の実施状況に関する知見を得るため, 北海道の障害者施設を対象としたアンケート調査結果を解析した。単純集計の結果によれば, 障害者施設は森林での余暇活動に高い関心を示し, 多くの施設が外出先に森林を選択していた。また, トイレや散策路などの設備を障害者にとって使いやすいものに改善することを求める意見が多かった。χ2検定の結果からは, 身体障害者や重複障害者がいる施設からは設備の改善が求められ, 知的障害者だけの施設からは森林体験のためのプログラムの充実が求められるなど, 障害の状況による森林での余暇活動に対する要望の違いが認められた。ノーマライゼーション思想の浸透, 余暇活動を通じた障害者の社会参加に向けた取り組みの顕在化, 森林浴の効用に関する情報の広まりを背景に, 障害者施設は森林を活用した余暇活動に期待を寄せている。今後, 障害者による森林を活用した余暇活動を促進するにはハード・ソフトの改善・充実と共に, 障害者福祉と森林林業, 両関係者による情報交換が必要不可欠である。