山菜やきのこは誰もが採集できる森の恵である。これらの利用と生育環境条件との関係は必ずしも十分には明らかにされていない。本研究では, これらを個人が採集したり, または, 団体 (個人以外の企業や自治体など) が広報・販売等で利用したりすることの地域性と生育環境との関係性を把握した。インターネット検索エンジンを利用し, 全国133市町村を対象に所定キーワードを与え, ヒット件数とその内容から各地の採集頻度を表す指標を算出した。この指標を市町村の人口, 森林面積, 気温, 積雪日数などで説明する重回帰モデルで解析した結果, 年平均気温が低い, または, 積雪日数が多い地域で山菜, きのこともに採集頻度が高いことが示された。また, 個人は天然林面積が大きなところで採集するのに対し, 団体ではその傾向は見られず, 様々な森林を利用していた。個人は景観が美しい場所で採集し, 採集をレジャーと捉える傾向があるのに対し, 団体は確実な採集のため対象の種の生育適地で採集すると考えられた。