ササが弱光環境である林床でも繁茂できるメカニズムを光強度の分布とササの現存量の分布パターンの違いから検討するため, ギャップから周囲の林内に向けて開空度とチマキザサの現存量を連続的に調べ, 光環境とササの現存量および成長特性との関係を解析した。開空度はギャップからの距離依存性が強い変化パターンを示した。チマキザサの現存量は開空度よりも, むしろギャップからの距離に強く依存しており, ギャップで最大となり, ギャップ縁まで緩やかに低下するが林内では一定になった。林内において開空度には変異があったが, ササの現存量はその変異に依存的にはならなかった。この現象には主に二つの解釈が考えられる。一つは, ササが弱光下でも高い同化能力を持っているためであり, 成長特性の結果は弱光環境下の光強度に適応していることを示している。二つ目は, その周辺ラメットからの同化産物の転流 (生理的統合) によって成長量が補償されている可能性を示唆している。