スギの雄花着花性は加齢とともに上昇することは明らかにされているが, 特定クローンでの加齢と着花性の関係は明らかとなっていない。筆者らは, 次代検定林に植栽された17クローンについて, 26∼42年生の17年の間で, 豊作年に着目して雄花着花状況の調査を4回行った。この結果, 26年生時点で着花性の高いクローンは42年生時点まで着花性が高く, 着花性の低いクローンは42年生時点まで低い傾向を示し, 着花性の評価は26年生時点で十分に可能であることが明らかとなった。また, 調査した17クローンの加齢とそれに伴う着花性の変化は一様ではなく, 遺伝的に多様である可能性が示唆された。なお, 加齢によっても着花性が低いまま安定しているとみられるクローンの中には, 42年生時点では, 花粉の少ないスギとして選抜されたクローンよりも着花指数が低くなったものがあり, 花粉の少ないクローンについて追加選抜できる可能性があると考えられた。