スギ・ヒノキ人工林における間伐が, 流域の蒸発散量に及ぼす影響を明らかにするため, 茨城県北部の常陸太田試験地HV流域 (0.88 ha) において2009年3月と5月に合計の間伐強度が本数で約50%, 材積で約30%の間伐を行った。HVと無間伐のHA流域 (0.84 ha) に対し, 短期水収支法により日蒸発散量を算出した。間伐前のHVとHAの日蒸発散量の関係について回帰式を求めた。回帰式からHAの蒸発散量をもとに無間伐だった場合のHVの蒸発散量を推定した。対照流域法により, この推定値と実際のHVの蒸発散量を比較して間伐による蒸発散量の変動を明らかにした。また, プリーストリー・テーラー法により大気条件から推定される蒸発散量を求め蒸発散量値の目安として用いた。HVの年間蒸発散量は間伐に伴い間伐前より約17 %減少した。間伐の影響は間伐半年後から徐々に表れ, 間伐2年目により顕著になった。また, 間伐の蒸発散量に対する影響は 6月から 10月に大きく現れていた。