非熟練調査者でも簡便にコナラの豊凶を評価できる方法 (以下, 簡易評価) を考案し, 試行した。簡易評価は樹冠部の着果状況を観察し, その豊凶を記述的基準に従って段階的に評価するが, このうち (1) 着果の有無と (2) 並作以上と不作以下の判断に, 定量的基準を設定した。のべ392本のコナラを対象に , (A) 複数の非熟練調査者が簡易評価によって, (B) 1人の森林研究者が枝先 50 cm当りの平均着果数を指標とした既存の定量的評価によって, それぞれ同時に豊凶を評価した。 (A) と (B) との間で, 3段階に再分類した豊凶評価が一致した個体の割合は75%で, 簡易評価の方が過小評価になる傾向があった。しかし (A) について複数の調査者による評価の最大値を採用した場合, (B) との評価の一致率は86%に向上し, 評価の偏りも解消した。簡易評価は複数の調査者が同時に実施することにより, 非熟練調査者でも信頼性を確保しながら簡便に豊凶を評価できることが示唆された。複数の調査者が簡易評価によって豊凶を調査する方法は, ナラ類の豊凶モニタリング調査に適していると考えられる。