戦後における専門高校の森林・林業教育について, 関連学科の状況と, 学習指導要領をもとに教育目標, 内容の変遷を分析し, 今後の教育のあり方と課題を考察した。その結果, 専門高校での森林・林業教育は, 1970年代までは林業技術者養成のための教育目標, 内容が設定されてきたが, その後関連分野の就職が減少する中で, 学科数が減少し, 学科名が多様化しており, 専門教育の目標は進学を視野に入れた将来の職業人の育成に変わっていた。教育内容は, 戦後一貫して育林など10項目が教えられているが, 林業の専門的な技術の内容は削減され, 新たに森林の生態や環境保全などが加わっていた。現在, 森林・林業関連学科は38校 (関連科目開設校を含め67校), 卒業生約千人/年の中で, 関連分野への進路を得ているのは2割程度であった。今後の森林・林業教育のあり方には, 森林・林業を切り口とした一般の職業人としての教養教育と,専門分野の人材育成との二つの役割が考えられ, その実施のための課題には, 教育内容の精査やプログラムの体系化, 専門性を持った森林・林業教育を行える教員の養成や確保, 大学など森林・林業分野の連携が挙げられた。