これまでの森林の密度管理手法は, 幹材積の収量を把握・管理するものであった。森林を炭素吸収源として捉える際には, 幹材積よりも重量値を基準に把握・管理するべきだと考えた。これは, 木材生産を目的としていない森林を炭素吸収源として評価するには特に重要な意味を持つ。また, これまでの密度管理手法に共通して使用される最多密度線は, 本来重量値によって定義づけられるものである。そこで, 本研究では重量値による収量-密度図を作成することを目的とした。調査対象は庄内地方の海岸クロマツ林である。作成された収量-密度図の最多密度線の傾きは−0.507となった。本研究では, 林齢とBポイントの関係から林齢別Y-N曲線を新たに導入した。これにより, 収量-密度図上に時間軸を組み込むことで, 調査対象とする林分の重量値を相対的に把握・評価することが可能となった。収量-密度図であれば, 直径階別に立木本数とその重量値が把握できることから, 炭素蓄積を目的とした密度管理にも応用できる。本研究は, これまでほとんど改変されてこなかった収量-密度図を, 重量値を使用することによって時代のニーズに応える次世代型の密度管理方法として改良した。