1908年に植栽された秋田県のスギ人工林で, 45∼73年生の期間に強度間伐 (収量比数0.6相当) から無間伐 (収量比数0.9相当) まで4段階の密度管理が3回の間伐によって行われ, 現在104年生に達している林分を対象に, 無間伐区と比べて間伐区の個体の樹高成長が低かったかどうかを検証した。間伐前の45年生の時点で間伐区と無間伐区のそれぞれから胸高直径および樹高が同等の立木を1個体ずつ選んでペアとし, それらの中から, 間伐処理以降も2個体が同等の直径成長を示したペアを対象に, 個体間の樹高および形状比を比較した。その結果, 強度間伐区の個体は60年生以降に無間伐区の個体よりも樹高成長速度が低い傾向を示した。中庸度・弱度の間伐区では, 少し遅れて70年生以降に同様の傾向がみられた。104年生時には, 間伐区の個体の樹高は無間伐区で同等の直径成長を示した個体と比べて平均で1∼2 m低く, 形状比は平均で2∼4ポイント低下していた。104年生時に, 強度・中庸度間伐区の形状比は無間伐区よりも低かったが, それは間伐による直径成長の促進だけではなく, 樹高成長が相対的に低かったことの影響もあると考えられた。