わが国における森林学と専門教育は100年に及ぶ歴史を刻んでいる。一方, 近年は専門教育以外への森林の利用も盛んであり, これらを背景に森林教育研究も活発である。ところが, 森林教育研究を包括的にとらえた体系的レビューはこれまでにない。本論は, わが国の森林学における森林教育研究を包括的にとらえ, 体系的レビューを行うことを目的とした。日本森林学会と同学会の連携学会および関連学会等がこれまでに刊行した学会誌等を悉皆調査し, 教育に関わる文献を抽出した。抽出した文献を時系列やテーマに沿って整理, 考察した。その結果, 抽出された文献は, 1925∼2011年の間に448件あり, 1980年代までは散発的であったが, 近年急増していた。本論では, 専門教育および教育活動の場としての森林や展示施設に関する研究を対象に整理した。専門教育に関する研究は, 初期には林業教育, 追って教育訓練や大学, 高等学校における専門教育へ展開し, 森林・施設に関する研究は, 初期には学校林, 追って演習林, さらには森林が果たす機能へ展開していた。