森林環境教育や木育など森林教育の取り組みが行われてきている。しかしながら, 森林教育の目的が整理されていないことから,学校教育では森林教育への理解を得にくい。そこで, 専門教育以外の普通教育としての「森林教育」について, 教育目的を明らかにすることを試みた。まず, 小・中学校における学校教育での教育の目的を整理し, 次に, 文献資料をもとに, これまでに森林教育の目的として挙げられている内容の類型化を行い, これらの結果から, 学校教育に対して森林教育がどのような役割を果たせるかという視点から, 森林教育の目的を検討することを試みた。その結果, 教育の目的を含めた森林教育の定義として「森林での直接的な体験を通じて, 循環型資源を育む地域の自然環境である森林について知り, 森林と関わる技能や態度, 感性, 社会性, 課題解決力などを養い, これからの社会の形成者として, 持続的な社会の文化を担う人材育成を目指した教育」を提案した。あわせて, 教えるべき内容として, 「森林の5原則」 (多様性, 生命性, 生産性, 関係性, 有限性), 「森林との関わりの5原則」 (現実的, 地域的, 文化的, 科学的, 持続的) を提案した。