戦後の専門高校の森林・林業教育について, 「森林経営」関連科目を対象に, 学習指導要領と教科書から教育の目的と内容の変化を分析した。科目名は, 「林業経済」, 「森林経理・法規」, 「測樹」, 「林業経営」, 「森林経営」と変わってきた。学習指導要領に示された科目の目標は, 林業に従事するための能力の育成から, 持続的に森林経営する能力の育成に変化した。また教育内容を整理すると, 概論 (森林と林業/森林経営, 効用/機能), 測樹 (森林の測定, 評価), 経営 (計画, 管理, 流通), 林政 (政策・法規) の4分野8項目30細目が挙げられた。教育内容では, 戦後から1990年代までは, 林業を経済的に管理・経営し, 木材生産を基本とした実務的な知識や技術であったが, 「森林経営」 (1999年版) 以降, 多面的な機能に関する内容が増えた。その結果, 専門高校の科目の「森林経営」では, 何のために森林経営を行うのかという理念がわかりにくくなっていた。今後の課題には, 次の学習指導要領の改訂に向けて, 育成すべき人材像を踏まえた専門高校の科目「森林経営」の再検討が挙げられた。