本論では,東京大学千葉演習林の J-VER 間伐推進プロジェクトを事例として,クレジット認証に要した労力と金銭的費用を集計し,単位クレジット当りの費用を算出した。そして平均的な間伐推進プロジェクトの内容を考慮しながら,クレジットの販売価格について考察した。千葉演習林の場合,審査費用,J-VER 作業人件費,間伐費用なる全ての費用を加味した1,614t- CO2のクレジット取得単価は,3,606円/t-CO2であった。これまでに認証された他の間伐推進プロジェクトの面積,費用,クレジット量等を考慮して,千葉演習林のクレジット取得費用を増減させて調整した結果,クレジット期間5年,間伐面積100 ha,クレジット量1,600t-CO2なる,平均的な間伐推進プロジェクトの場合,クレジット取得単価は最大で4,700円/t-CO2程 度と推定された。森林吸収系 J-VER クレジットに対する購入希望価格4,500円/t-CO2程度で,1,600t-CO2の全量を販売した 場合,審査費用と J-VER 作業人件費が回収可能で,さらに今後3年間の間伐作業費に相当する利益が得られると解釈できた。