冠雪害の発生傾向と林孔との関係を明らかにするために,2010年12月に岩手県滝沢演習林のスギ高齢林で発生した事例について Voronoi 多角形面積を用いて解析した。個体の存在した場所の斜面状態,形状比,樹形級, Voronoi 多角形面積を説明変数に用いてロジスティック回帰分析を行った結果,最良モデルには斜面状態,形状比, Voronoi 多角形面積が含まれた。最良モデルの係数から,傾斜地に存在し,Voronoi 多角形面積がより大きく,形状比がより高い個体の方が被害を受けやすいと判断された。また,傾斜地における被害木と健全木の平均形状比の差,平均 Voronoi 多角形面積の差に対するオッズ比は Voronoi 多角形面積で1.40であり,形状比の1.21より大きかった。ゆえに,冠雪害の発生を抑制する際,形状比のみならず林孔に関する指標にも注目すべきである。