近年,北海道では札幌など都市部を中心にシラカバ花粉症が急増している。しかし,カンバ類の花粉の生産や飛散などの基本的な特性が十分に調査されていない。そこで本研究では,カンパ類の花粉生産特性および花粉飛散時期などについて調査を行うとともに,花粉飛散量の予測に応用可能なシラカンバの雄花序観察による着花数の簡便な評価方法についても検討した。シラカンバ街路樹を用い,枝先から50cmの範囲における雄花序の有無と雄花序数を調査しこれらの積を着花指数とした。着花指数は,実際の雄花序数の実測値と両者に高い正の相関関係があり,着花数の評価方法として有効なことがわかった。シラカンバ人工林(平均樹高19m)の1ha当たりの花粉生産量は,0.07~3.5×1012個と推定された。シラカンバ人工林の上層樹高が10mを超えると,5割以上の個体が開花することがわかった。シラカンバ街路樹における剪定は,剪定後開花3シーズンまでは雄花序生産を減少させることが明らかになった。シラカンバは,ダケカンバよりも約2週間開花のピークが早く,空中花粉の飛散もシラカンバはダケカンバよりも早いことがわかった。