高齢級人工林の発達様式と施業との関係を明らかにするため,林齢の異なる20年生から240年生までのヒノキ人工林7林分を調査し,高齢級化に伴う群集組成•林分構造の変化を考察した。林齢200年前後のヒノキ高齢級人工林は,100年生以下のものと比べ,構成する個体のサイズや材積が大きくなるばかりでなく,群集組成や林分構造に大きな違いが認められた。すなわち,広葉樹の侵入によって,群集組成が多様化するばかりでなく,林冠層の植栽木と下層の広葉樹なら成る複雑な階層構造が発達する。このような高齢級人工林の林分構造の発達様式は,植栽木の老齢化に伴う自然枯死ばかりでなく,過去の伐採履歴による林冠破壊が深く関与している可能性があり,生態系として健全性の高い高齢級人工林を造成するには,100年生以降の高齢級人工林であっても適正な密度管理が必要と考えられた。