スギ精英樹5クローン15個体の炭素含有率の樹幹内変動について検討した。心材の炭素含有率は辺材より高く,辺材では樹皮に近づくにつれて減少する傾向にあった。樹高方向での炭素含有率のパターンは心材,辺材ともに地上高が高くなるにつれて小さくなる傾向にあった。炭素含有率は,どの地上高においても個体およびクローンによる差が小さいことが認められた。地上高1.2mは他の地上高の炭素含有率と相関が高かったことから,個体間の比較が可能な部位であると考えられた。また地上高1.2mにおける炭素含有率には,クローン間差が認められたことから,スギ材の炭素含有率は遺伝要因が大きいことが示唆された。