枯死木分解呼吸の環境要因への反応特性を調べるために,呼吸量を自動測定するシステムを開発し,コナラの枯死木呼吸量を2年間連続測定した。日単位の呼吸量は,枯死木表面付近の温度変化に伴い明瞭な日変化を示した。また,降雨による含水率の上昇に伴い呼吸量は急激に減少し,降雨後に徐々に増加する傾向がみられた。呼吸量の季節変動は,温度に対して指数関数的な関係があり,冬期と夏期の呼吸量の差は約8倍であった。同じ温度下における呼吸量のばらつきは主に材の含水率の変化によるものであると考えられ,一降雨から次の降雨までの含水率の変化に対して呼吸量は平均約1.5倍程度の変化をみせた。温度を変数とした指数関数と含水率を変数とした2次式を乗じた関数を用いて日平均呼吸量の推定を行ったところ,呼吸量のばらつきの85%を説明することができ,温度変化に対する呼吸量の季節変化や,含水率の変化に対する呼吸量の短期的な増減の再現が可能であった。このように,枯死木の呼吸量は温度と含水率の時系列変化に伴い,変化幅が約8倍の季節変化と,変化幅が約1.5倍の含水率の変化に伴う短期的な変化と,日変化によって複合的に構成されていることが明らかになった。