森林の特性(広葉樹林/針葉樹林,樹高など)と蒸発散量の関係を明らかにする上で,何が問題なのかを同定し,問題解決のためのプランを作成した。さらに,現在,このプランがどの程度まで達成されているかを明らかにした。森林の特性と蒸発散量の関係を明らかにする上で問題なのは,計測結果の一般性(ある試験地で得られた計測結果と同じものがほかの試験地で得られるかどうか)がわからないということであった。一般性の判断のために,蒸発散量を気象条件とサイト•パラメータの関数として表現したモデルの構築が有効であることを指摘した。そのモデルの具体的構造を示し,モデルの使用に蒸散•遮断蒸発量それぞれについて暖候期の値の検討,季節変化パターンの検討が必要であることを示した。現在までに暖候期の蒸散についての検討が終了し,1)広葉樹林のαは針葉樹林のαより大きい,2)針葉樹林のαは樹高と対応して変化する,という結論が得られていることを示した。