ある地点における架設可能なH型架線の組数により支点設置可否特性を定義し,路網開設に際して重要な指標となる崩壊危険度および関連地形因子との関係を分析した。まず,架設可能性の判定計算に先立ち,H型架線の架設事例から現実的な2線の位置関係を明らかにした。また,荷上索角度の制限により主索への過張力を回避する現行の作業方法を力学的に考察し,荷重点高さを想定した。分析の結果,支点設置の可能性が高い地点ではそうでない地点よりも相対的に崩壊危険度が低かった。関連地形因子との関係では,斜面の横断形状,傾斜変換点,集水面積,およびこれらの交互作用において,支点設置の可能性が高いことが崩壊危険度を小さくする要因と一致した。傾斜については,崩壊危険度を高くする急な斜面の方が支点設置の可能性が高かった。