ヤナギ群落の物質生産の特徴を解明するために三重県島ヶ原村の耕作放棄水田に成立した10年生タチヤナギ群落について物質生産量を調査した。調査区を設け,生育期前後の毎木調査と伐木調査,リターフォール調査などを行い地上部の諸量を推定した。葉現存量3.18t/haおよびLAI 4.75 ha/haは日本の落葉広葉樹林の平均値に概ね一致した。幹枝現存量は生育期前44.10t/haから同後56.82 t/haに増加した。現存量の増分12.72 t/ha/yrに枯死脱落量7.42t/ha/yrと被食量0.18 t/ha/yrを加えて求めた2003年の純生産量は20.32 t/ha/yrであった。これは日本の落葉広葉樹林の平均値を大きく上回ったが,若い陽樹林には同程度の生産量を示すいくつかの報告例がある。夏季の最大現存量60.Ot/haから求めた地上部現存量密度0.68kg/m3は他の陽樹林と同程度であった。