スギの成林への立地環境の影響を理解することを目的に,簡便で汎用性のある方法でスギ人工林での落葉樹混交の実態を解析した。地理情報システム上で調査簿データから森林4クラス(常緑,混交A,混交B,落葉)の分布図(基準データ)を作成した。パターン展開法を用いて1994年6月と1996年9月に観測されたTMデータの地形の影響を除去した後,ISODATA法で25カテゴリに分類し,基準データを参照して森林4クラスを含む7クラスに集約した。さらに森林4クラスを常緑と落葉に統合し,混交率に基づいて小班を常緑,混交と落葉に区分して分類精度を評価するとKHATは0.773だった。常緑と落葉に2区分した分類図は,急斜面ほど落葉樹率が高くて標高800mを越えると落葉樹率が上昇することを示し,斜面での積雪の移動や積雪量と気温がスギの成長を妨げたと考えられた。分類図は混交実態を表すとともに,立地情報を併用すればスギ適地判定などの森林管理に利用可能といえよう。