細菌性食中毒検査の迅速化・省力化のため,duplex real-time PCR法を用いた食中毒起因菌のより実践的な一斉スクリーニング法を考案した.本法は,食中毒患者の糞便検体から抽出されたDNAを対象とし,Duplex SYBR Green real-time PCRの8反応系を同時に行い,発生頻度の高い食中毒起因菌の16遺伝子を一斉に検索する.菌種の同定は,融解曲線分析の T m値との比較より,判定することが可能である.実際の食中毒事例の患者糞便検体に本法を導入したところ,培養法と同等の成績を約3~4時間で得ることができた.本法は,検査の効率化のみならず,食中毒事件へのより迅速な行政対応を可能にし, 健康危機管理の一端を担う方法として活用が期待される.