温泉のモデル水および天然温泉水158検体を用いて, LB-BGLB法と発色酵素基質培地2法との E.coli および大腸菌群検出についての比較検討を行った. 菌が発育できる検水添加後の各培地のpHはおおむね, LB-BGLB法のLB培地がpH4.5~9.5, 酵素基質培地2法がpH5.0~9.0の範囲で, 酵素基質法2培地の菌発育を阻害した温泉成分は, Na2S (H2Sとして50mg/ l 以上) と銅 (20mg/ l 以上) の2成分であった.天然温泉水での大腸菌群試験3法間の一致率は92.4~94.3%で, 酵素基質法の2培地間が最も高く, 3法とも一致した割合は92 .4%であった.また, E.coli の検出は, 3法ですべて一致していた.酵素基質培地2法の検討では, 黄色系に着色することの多い温泉水の検査は, MMO法培地より青色系呈色で判定するX-GAL法のほうが有用性が高いと考えられた. これらの結果から, 検水のpH, H2Sおよび銅濃度に注意することで, 酵素基質培地法は温泉水の E. coli を含む大腸菌群試験に使用できると考えられた.簡易迅速な同培地法を温泉水に適用できれば有用と思われる.