サルモネラのガラクチトール1リン酸脱水素酵素をコードする gatD の遺伝子のサルモネラ特異的領域を増幅させるPCR法によるサルモネラ簡易迅速検出法を開発した. gatD 遺伝子のサルモネラ特異的領域の増幅のための4種のプライマーP1, P2, P3, P4を合成し, P1-P3, P2-P4およびP3-P4の3つの組み合わせでPCRを行った.21血清型24株のサルモネラのゲノムDNAを試料とした場合には, これら GatD プライマーセットでそれぞれ約780,140および920bpの単一のPCR産物が増幅された.24株のサルモネラ以外の細菌のゲノムDNAでは, どのプライマーセットを使用してもPCR産物の増幅は認められなかった.これらのPCRバンドは180個の Salmonella Typhimurium菌体から調製したDNA試料でも検出できた.各種菌数の S. Typhimurium および Escherichia coli を接種した滅菌鶏肉を試料としてEEM培地で42℃, 6時間増菌培養後, この培養液5m l をズルシトールー塩化マグネシウムーピリジンスルホン酸-ブリリアントグリーンーノボビオシン培地45m l に接種してさらに42℃, 18時間選択培養した.培養液から煮沸法で調製したDNAを鋳型とし, 本GatDプライマーセットを用いるPCR法により, 2.1×106cfu/259の E. coli を接種した試料でも1.7cfu/25gの S . Typhimuriumを検出できた.