各種食品から大腸菌O157を検出する目的で検査を実施したところ, 大腸菌O157と共通のO抗原をもつ C. freundii が378件中15件 (4.0%) から分離された.食品別では生鮮魚介類30件中5件 (16.7%) が最も高く, 生野菜類148件中6件 (4.1%), 生肉類89件中3件 (3.4%), その他の食品111件中1件 (0.9%) であった.分離された15株のうち生化学的性状で定型的なものは2株のみで, 他の13株 (H2S非産生を含む) はマロン酸およびズルシットがともに陽性の非定型的なものであった.分離された C. freundii のO抗原と大腸菌O157のそれとを免疫学的に比較するためにそれぞれの抗O血清を作製して交差吸収試験を行ったところ, 分離株は定型的, 非定型的にかかわらず大腸菌O157とほとんど同一のO抗原をもっていることがわかった.さらにO157抗原合成遺伝子 rfbE とのハイブリダイゼーションを実施したところ, ハイブリダイゼーションの温度が低いと陽性になり, 高いと陰性になることから, 大腸菌O157のO抗原合成遺伝子 rfbE と類似したものをもっているのではないかと考えられた.