食肉におけるO157検査法の迅速化を図る基礎的研究の一環として今回加熱損傷を受けたO157の増菌培養法について培地 (mEC-Nb, TSB), 培養時間 (5, 10, 20時間), 培養温度 (37℃, 42℃) および培養方法 (静置, 振とう) を組合せ, 増菌効果について検討した.また, 同時に競合すると考えられる菌種についても同様に検討した結果, 以下の成績が得られた. 1) 加熱損傷を受けたO157は, 10-3cfu/mlの極少の菌数の場合を106cfu/ml以上に増菌するためには培養温度, 培養方法, 増菌培地にかかわらず20時間を要することがわかった. 2) 加熱損傷を受けたO157をTSBを用いて増菌培養した場合, 培養方法にかかわらず37℃ より42℃ で培養した方が良い増菌効果を示した. 3) ノボビオシンを20mg/L培地に添加することにより競合菌の増菌を抑制することがわかった.