さまざまな条件の水圏環境中における L.monocytogenes の生残性を調べた結果, 超純水中での L.monocytogenes は極めて短期間にコロニー形性能を失うが, 人工海水および天然海水では, 低温になると長期にわたりコロニー形成能を保持したまま生残した. また L.monocytogenes の定常期細胞は増殖期細胞よりも人工海水中において, 長期にわたりコロニー形成能を保持できた. 人工海水中の L. monocytogenes 生細胞数は, 培養法よりも蛍光染色法で多く計数され, しかも温度の高いときにその差が大きくなった. 一方, 人工海水と超純水中での生残性を比較すると, 無機塩類を含まない超純水中での培養法と蛍光染色法との間の生細胞数差は, 人工海水中での場合よりも極めて小さかった. したがって, L. monocytogenes も貧栄養状態の海水中においてVBNC状態に陥る可能性が示唆された.また, VBNC状態への移行には温度と無機塩類の存在が重要な因子であった.